Lady Merry の日記

Yahooブログから引っ越してきました。

Lady メリーと異教の騎士29

 
 「・・・そうですねぇ? 親子で日常会話は?」
 「ほんとにイエスとか、ノーとか・・・簡単な単語だけなんです、
 詳しく聞いても・・・『ああ』とか、血走った目ですぐに、私たちに興味をなくして・・・。」
やっぱり薬物かなんかではないのか?
真剣に聞くハロルドを他所にモーリンは話を続ける。
 「こないだなんかは・・・服に血をつけてきて・・・!
 ケガでもしたのかと思ったら、上着だけで、肌着は綺麗・・・。
 よぉく見たら、上着の血のりに動物の毛が付着してて・・・。」
そこまで聞いて、ハロルドの知識の中でも、
その息子とやらの異常行動の種類が、ある程度分析化できてきた。
そのケースだと、動物への虐待が、人間へ発展するケースも珍しくない・・・。
 「なるほど・・・急いだ方がいいかもしれませんね・・・。」

丁度、お昼を前に、話は一段落を迎えた。
ハロルドはにこやかに応対しながら、玄関までモーリンを見送る。
 「それじゃあ、明日、ご連絡を入れます。
 料金の方は勉強させていただきますよ?」
 「あ・・・ありがとうございます、それじゃあ是非、よろしくお願いします。」
 「ええ、いろいろご不安でしょうが、解決へ向けて協力させていただきますよ。
 ご家庭に団欒が戻るといいですね。」
 「はい、もうしばらく息子とまともな会話もないので・・・。
 自分の部屋で歌なんかは歌ってるみたいですが・・・。」
 「歌?」
 「ええ、小さな子供が歌うようなわらべ歌を・・・。」
別れ際の事もあり、ハロルドはあまり深くはつっこまなかった。
モーリンの方も、ハロルドになんとか心配事を打ち明けれたのと、
自分の行動が、事態の解決に動くのではないかという、淡い期待で多少上機嫌になってたようだ。
事務所の扉が閉まり、ビルのエレベーターに向かう途中、小さな声で歌を歌い始めていた・・・。

 りーじーぼーでん とぅっく あん あっくす
 ひっと はー ふぁーざー ふぉーてぃ わーくす
 りーじーぼーでん とぅっく あん・・・