Lady Merry の日記

Yahooブログから引っ越してきました。

フラアと遺児たち

 
  10.

 きっと、この日のためにたくさん練習してきたんだろう。
子供達は、ピアノにあわせた合唱やお遊戯、朗読会など様々な出し物を繰り広げてくれた。
可愛いんだけど、これではどっちが慰問されてるんだか分らない。
もちろんフラアも、必死で考えた子供達へのメッセージを読み上げたが、
子供達は喜んでくれてるのだろうか?
子供達へのプレゼントは、お役人が用意したものだし、
なんなら、乗馬や射的の技術を見せてあげた方が、子供達は大喜びするんじゃないのかな?
・・・事前にその事を提案したら却下されたけど・・・。

午後はバザーで会場内は大盛況だ。
フラアも護衛に守られてだが、子供達のブースや、一般参加の売り物を見てまわる。
ただ、護衛の外側には多くの子供達が、もじもじしながらフラアの後をついてきていた。
 子供ってかわいいなぁ・・・。
 一人ぐらい持って帰っちゃってもばれないんじゃないかしら?
と、一人で下らない事を考えていると、
一番後ろのほうでくっついてる女の子の様子がおかしいのに気づいた。
フラアをじーっと見つめてるのだが、どことなく怯えている風にも見える。
視線が合ったら、さらに怯えて他の子の後ろに隠れてしまった。
 「どうしたの? 後ろのお嬢ちゃん? あたしが怖い?」
身をかがめて聞こうとするが、女の子は怯えたままだ・・・。
本当に怖がってるなら、後ろになんかついてこないだろうけど・・・。
他の子に聞いてみるか・・・。
 「ね? あの子、何で怖がってるのかしら? 人見知りちゃん?」
 「あー、あいつ、夜中に変なもん、見たんだって、
 そいつがフラア様に似てるんだとか言ってたよ?」
子供の戯言かとは思ったが、「自分に似てる」という事がちょっとひっかかった。
フラアは出来る限り優しく、その子に声をもう一度かけてみた。
 「ねぇー? あなた、お名前は?」
女の子はまだ怯えてるふうだったが、ニヤニヤしてる周りの子達に押されて近づいてきた。
 「お姉さん、こわくないわよ? ね?」