Lady Merry の日記

Yahooブログから引っ越してきました。

光の天使ルシファー

 
  6.

 老王は、厳しい目をランディに向けたままゆっくりと喋る・・・。
 「そう、当然、余以外の者には認識できぬ事なれど、
 余は予知能力者ではない・・・。
 神の御使いから、未来の出来事を教えてもらってるだけに過ぎない。
 ・・・察しの良いそなたにはもう、分るのではないか?
 その『神の御遣い』とは誰のことなのか・・・をな。」
そう言って再びエアは、部屋の隅にいる男に頭を下げた。
 「ま! ・・・まさか!」
金髪の青年はニッコリ笑って口を開いた。
 「自己紹介させてもらいましょうか、破壊の天使アスラ王の末裔ランディ君?
 私の名は ルシファー・・・、
 光の天使ルシファーと覚えていて欲しい。」

自分の予想を遥かに上回る答えに、ランディは慌てて平伏した。
この男の言う事が事実なら、アルヒズリに住む者で「彼」に頭を上げられるものなどいやしない。
つい先ごろ、終結した大陸戦争・・・
その本当の目的は、『天からやってきた災厄』から、この大地を防ぐ事・・・。
エア王の予言がなければ、今頃全世界の人類が死滅していたかもしれないのだ・・・!

 「た、大変ご無礼を・・・! ど、どうかお許しを下さいませ!!」
金髪の青年は相変わらず涼しく笑うだけだ。
 「どうぞ、気にしないで・・・。
 別に私は君の上官でもないし、私も君たち人間を利用させてもらっただけだしね?」
これにはエアが受け答えた。
 「滅相も無い! この国の者・・・いえ、全世界の者が貴方様には感謝の念を持っております。
 我らはいかに貴方様の恩に報いればよいのか、それだけが今の私めの悩みでございます!」
 「ハハッ、よしてください?
 そんな仰々しい歓待は必要ないですから、
 それに、わざわざこんな時間にこんな形でやってきたのですし。」

ランディはまだ動転しているというか、半信半疑のせいで、
身の程をわきまえず、自らの心に芽生えた疑問をぶつけずにはいられなかった。
 「し、しかし、今まで陛下の夢の中にしかいらっしゃらなかったのに・・・
 何故、今になってこのような・・・!?」
そこにエア王の叱責が飛ぶ。
 「ランディ! 無礼であるぞ!!」