Lady Merry の日記

Yahooブログから引っ越してきました。

ランディ プロローグ58

 
 「さて、ランディよ・・・、
 そなたへの褒章・・・及び、これからの役職については、おってまた詳細な決定がされるであろう。
 それより、いま・・・
 ここには宮廷の重臣達一同が控えておる。
 ちょうど良い機会じゃ・・・、
 お主も・・・ここにいる全ての臣たちよ、
 これより、余の話すことを真剣に聞くが良い・・・。」

途端に会場は静かになった。
エア王の語りは迫力ある物でも大仰しいものでもないが、
たんたんと喋る物言いは、不思議な説得力を持っている・・・。
 「まず、ランディよ・・・。
 そなたがテルアハに於いて、イル兵を蹴散らす事は、
 余が既に夢を視る事によって事前にわかっていた・・・。」
 「な・・・? 何ですって!?」
ランディもアルヒズリの人間である以上、エアの預言能力のことは聞いている。
それによって、このアルヒズリが何度となく危機から脱している事も。
だが、自分自身のことさえも預言されていたなど、考えもしなかった。
まぁ、当たり前といえばそれまでだろうが・・・。
 「既にこの場にいる臣たちも知っていようが、
 余は、眠りの間、時として天からの使いの訪問を受ける事がある。
 それにより、未来に起こるいくつかの出来事を、
 前もって知る事が出来るのじゃ・・・!」
戸惑いつつもランディは、真剣に王の話に耳を傾ける。
話の流れからいっても、この先にさらに重要な話が隠れていそうだ。
 「さて・・・、此度の予言では、
 ランディの出現は『予兆』として語られた。」
ランディは顔を上げる・・・。
 「『予兆』・・・ですか?」
 「フム、先日襲われたクエタの街・・・。
 あのような僻地にイルが現われたのも、偶然でもたまたまでもない・・・。
 全て理由があるのじゃ・・・!」