Lady Merry の日記

Yahooブログから引っ越してきました。

語られない物語その・・・3桁めぐらいの5

 
 「悪いが・・・オレにはやることがある。」
あざみは不満そうに男をにらむ。
 「私って魅力ない?」
 「・・・違う!
 オレはこの闘いを終わらせに来てるんだ・・・、お前の目的は違うだろ!?」
 「終わらせに・・・ですって? もう、この世界は崩れ始めたわ?
 あなたに何ができるの?
 あなたも・・・たった一人なんじゃないの?」
その言葉に、初めて男は感情を見せて反応した。

 「オレは・・・!
 一人じゃ・・・一人じゃない。
 仲間がいる・・・!
 ・・・きっと生きている・・・。」

男は視線をそらした・・・。
この男も悲しそうな過去を背負っているようだ・・・。
最初の印象とかなり違う・・・?
だが、あざみのほうも、この男の意志の強さだけは、はっきりと理解することが出来た。
しょせん、違う世界の住人なのだろうか・・・?
だが、この男の目的が、
今この地で繰り広げられている、二つの軍勢の闘いの終結が目的というのなら、
自分の命くらい大目に見てくれるかな・・・?

 「残念ね・・・、
 あなたなら、わたしのカラダを好きにしてくれても良かったのに・・・。
 いいわ、この世界を変えられるなら・・・その時また会いましょう?」
 「このまま、オレがおまえを逃がすとでも?」
 「ええ? 私を殺して、あなたにメリットあるの?
 私は、いま、この地の落人や、はぐれ者どもを食べてるだけよ?
 それがあなたにとって許されないこと?」

男はまた考え込んだ・・・。
その程度なら、自分が盗賊や敵兵をなぎ倒すのとそう、変わりはないのかも・・・。
 「おい。」
 「んん~?」
 「罪のない民間人は食べてないんだな?」
 「ええ、今のところは。」
 「そうか、ならオレも忙しい、先を急ぐ・・・、
 とっとと行け・・・。
 だが、その言葉に嘘があったら、その時は覚悟するんだな・・・。」