Lady Merry の日記

Yahooブログから引っ越してきました。

語られない物語その・・・3桁めぐらいの12

 
 「違う。考えてみろ、
 『ヤツ』を殺すチャンス? そんなものはいつでもあっただろう?
 もう、お前も私の真意に気づき始めているだろう?
 全ては、『ヤツ』を甦らせるためだ・・・、
 紋章? 天叢雲剣
 それらは、ヤツの能力を発現させるきっかけにあるようなものだ、
 いや・・・封じるため・・・かもな?
 私は与えるだけだ、ヤツの中にある神の血を目覚めさせるきっかけをな!?」
 「そのために・・・騎士団を暴走させ、スサ総代美香を暗殺し・・・、
 それから、私達の虎の子の能力者・・・あの坊やも倒されてしまいましたね・・・?」
 「あの小僧も稀に見る逸材ではあったな?
 まぁ、神を復活させるための供儀のようなものだ、
 たいした犠牲ではない。」
 「・・・では、この黒十字軍も・・・
 あなたにとっては・・・道具にしか過ぎないのですか?」

そのカーリーの発言に、ルードヴィッヒは沈黙する。
だが、次の瞬間カーリーは心の底からの恐怖を味わった。
霊感鋭いカーリーには見えたのだ、
ルードヴィッヒのカラダの周りから暗黒のオーラが噴出す様を・・・!

 「不満か・・・カーリーよ!?」
 「い、いえ! そんな!
 ・・・ですが、ルードヴィッヒ様、あなた様の能力も、
 彼らが・・・聖剣エクスカリバーを持つアーサーには通じないのかもしれないのですよ?
 これで、スサや・・・彼らが一斉に立ち向かってきたら、あなた様といえど・・・!」
 「フハハ、それも同様だ、
 確かに私の所有する霊剣ドルジェと、聖剣エクスカリバーは相性が悪い。
 だが、この霊剣ドルジェの本当の真価は、全ての闘いが終わった後に明らかになるであろう!
 カーリー、安心するが良い、
 私とお前の目的は最終的には一致している。
 その手段において、いささか意見が食い違うだけだ、
 お前はお前のやり方で、私やこの黒十字軍を利用すればいいのだ・・・!」

ルードヴィッヒから噴出した黒いオーラは、
いまや玉座を包み、まるで蝙蝠が羽根を伸ばしたかのように、左右に広がっている。
上方には二本の角が天を貫く様でもあり、背後には何本もの尾が生えたかのように、
後ろに伸びている・・・。

まるでこの姿は・・・

そしてカーリーは最後に見た・・・、
ルードヴィッヒの瞳が、「黄金色」に輝くのを・・・。


 
                                  ( 終わり )