Lady Merry の日記

Yahooブログから引っ越してきました。

Lady メリーと異教の騎士36

 
 「・・・・・・。」
今度はハロルドが言葉に詰まった・・・。
 本当にこの人形・・・、
 感情をなくしているのか・・・?
 普通の人間の女とどう違うってんだ?

すでにハロルドには、今度の厄介ごとに対して本気になっていた。
また、ハロルドは別に取り立てて社交的なわけでも、
人間観察に優れているわけでもない。
だが、電話の先の人形が、まごう事なき女性である事は十分に理解できていた。
話の順番からいえば、
人形・百合子に人間臭さを認めたからこそ、この事件に本腰を入れる気になったのかもしれない。

そして勿論、
彼は、この相手が「イブの子孫」とは性質を異にする筈の、
「リーリト」という異人種である事は聞かされていない。
もし、
急に、彼女が「通常の女性とは性質を異にする」と言われても、納得する事は出来ないだろう。
その違いは・・・特殊能力だけの事ではない筈なのだが・・・。

 『ハロルド?』
 「・・・ん? ああ、済まない、・・・ちょっと考え事をな?」
 『話が飛んでしまったかしらね?
 食事はもういいの?』
 「ああ、早メシはオレの特技でな、
 少ししたら依頼の学校まで突っ走るぜ。」
 『よく噛んで食べた方がいいわよ?』
 「・・・本当にアンタ人間臭いな・・・。
 オレのおふくろか!?
 人形と話してるの、忘れちまうよ・・・。」
 『ああ、そうかもしれないわね・・・。
 これでも、一児の母親だったもので、習慣が残ってるのよ? 
 いえ、手がかかっていたのは夫のほうかしら?』