Lady Merry の日記

Yahooブログから引っ越してきました。

Lady メリーと異教の騎士38

 
 太陽は既に、空の真ん中から西へと傾きかけていた・・・。
風は時折吹いてくるが、強風という程の物でもない。
目的のハイスクールはすぐにわかった。
長い金網と、その奥に広大なグラウンドが見える。
フットボール場だろう・・・。
脇に見えるレンガ色の建物は思ったほど大きくもない。

ハロルドは一度、周辺を車で流し入り口や地形を把握する。
勿論、敷地内には入れないし、入るつもりはないが、
ある程度観察し終えた段階で、車を道路わきに停める・・・。

今朝のモーリンの息子は、バスで通学しているという。
今日も、この校舎のどこかにはいるのだろう。
まだ正式に依頼を受けたわけではないので、ハロルドはこれ以上何かするつもりもないが、
・・・いたって普通の学校のようだ。

時間的には午後の授業が始まってるはずだが、
数人の生徒らしき男女が、校門から出て行くのが見える。
ハロルドはタバコをふかしていたが、
一度、火を消し、
バス停の前でたむろってる若者に声をかけた。
 「・・・あ~、君たち、・・・ズビッ、君たち、この学校の子かい?」
普通に談笑していた生徒達は、お互い顔を見合わせながら、
緊張交じりに返事を返す。
 「あ、ああ、はい、そうですよ?」
 「授業はもう、終わりなの?」
 「・・・あ、えっと、僕らの先生が急病で休んじゃったんで、休講なんです。」
 「わぉ、そりゃあ、大変だな?」
 「ところで、・・・実は僕の弟がそろそろ受験なんだけど、
 この学校は雰囲気いいかい?
 楽しめそうな学校かな?」
ハロルドは適当なデマカセを吹いた。