Lady Merry の日記

Yahooブログから引っ越してきました。

Lady メリーと異教の騎士 42

 
まさか・・・。
ハロルドは「ぐわぁっ」と心臓がとまりそうになった。
抱えた包みから、メリーのシルバーブロンドの美しい房が垂れ下がっているうっ!
もうハロルドはまつ毛を瞬かせ、やぶれかぶれでカーテンの包みをずらせるしかない。
メリーの冷たい形相が露わになる。
周りからはさらにどよめきが起きるが、よく見ればマネキンだと理解してもらえるはずだ。
顔を真っ赤にしながら、ハロルドは独り言でもつぶやくように、
 「あああっ、これ、マネキンねっ、これマネキンだからっ!」
と、店の奥のトイレにまで足早に入っていった・・・。

ねぇ、ハロルド?
そんなものを抱えてトイレに行ったら、それこそ誤解されそうな気も・・・。

その後トイレの狭い個室では、ハロルドが汗をかきつつ、メリーの包みをゆっくりと外していた。
 「・・・ふぅぅ、焦ったぁ・・・。」
ようやくメリーも動きを再開させる。
 「大丈夫?」
 「・・・もう、二度とやんねぇ、精神的疲労が大きすぎる・・・。」
 「ここからはほっといてくれて構わないわ、
 あの・・・鎌だけ預かってくれる?」
 「ああ、途中で警察に通報されない事を祈ってくれ・・・。
 迎えはどうする?」
 「そうね?
 満足する答えが出たら、夜の闇に紛れて、どっかのトラックにでも乗せてもらうわ、
 明日の朝には、あなたの車のトランクの中に戻ってるはずよ。」
 「りょーかい、・・・じゃあ、オレは日常に一まず戻るぜぇ?」
 「ええ、ご苦労様、感謝するわ・・・。」
狭いトイレの密室で、こんなキレイな顔した人形を話し込んでるとおかしな気分になる。
人形・・・これは、人形・・・!
ハロルドは自分に言い聞かせて、ゆっくりとトイレのドアを開けた。
誰もいない・・・。
今のうちに・・・!