Lady Merry の日記

Yahooブログから引っ越してきました。

緒沢タケル第四章その38

 
 「・・・!」
 「言うまでもなく、・・・わかるな、タケル・・・。
 地上の主・・・大地の王、スサが伝える神というのは、
 その時、人間を救った神なのだ・・・。
 私の生まれた場所でポセイドンと呼ばれた存在・・・、
 日本で言うスサノヲ・・・インドではシヴァ、又はルドラ・・・、
 メソポタミアではエンキ・・・!
 そんな人間を助けた神が待っていたのは、他の神々による捕縛だ・・・。
 一説には取引があったといわれている。
 我らの神が、その身を引き換えにする事で、
 以降、人間達は神々に攻撃されなくて済んだのだ、と言うな?
 勿論、正確な事実はわからん。
 もう、その神と呼ばれた存在は殺されたのかもしれない。
 いや、実は神ですらないのかも知れない。
 だが我らスサの民は、その英雄的行為を行った者をあがめ続けてきたのだ・・・。
 他の人間達が、その神の行為を忘れ、かつての殺戮者に帰依する事になろうとも、
 我らだけは忘れまい、という決意の元にな。」
そしてサルペドンは立ち上がる。 

 「いま、世界がどうなっているか、もう一度見渡せ、タケル。
 事もあろうか、『神』の意志を代行するとなどと抜かしている騎士団・・・!
 あいつらの行為を何とする?
 かつての虐殺者達の冒した恐ろしい殺戮を・・・今度は人間自らの手で行おうというのか!?
 そして、我らスサは!?
 お前の姉、美香は!?
 タケル、お前は!?
 かつての・・・この地上の本当の主の血を受け継ぐなら・・・、
 いや、血縁なんか本来、どうだっていいのだ・・・!
 かの神の意志を受け継ぐ自覚があるのなら・・・!
 我らがすべきことはおのずと知れよう!!
 人間がどんな過ちを犯そうが・・・
 どんな罪を犯そうとも・・・、
 この地上の人間を・・・滅ぼすわけには行かないのだ!!」