Lady Merry の日記

Yahooブログから引っ越してきました。

緒沢タケル第四章その40

 
 指導力がない?
 そんな風には見えねーぞ!?

・・・そこへマリアが再び話に加わった・・・。
 「タケルさん、今のサルペドンの話が・・・、
 彼が美香さんを襲う理由がないことの証になるのよ・・・。」
 「な、なんでっ!?」
 「自分自身に厳しい戒めを与えていたのは、美香さんだけではありません。
 ・・・彼も同じです。
 他人から見れば謙虚なだけに見えるのかもしれませんが、
 彼は自らを、このスサ・・・いえ、緒沢家に尽くす事を自分の責務と決めているのです。
 私から見ても、彼に指導者の素養は十分、備わっているとは思うのですが、
 もし、緒沢家を排して、彼を無理矢理、総代にしてしまうのなら、
 きっと彼はこのスサから脱退してしまうでしょう。」
 「け、謙虚ぉ!?
 ・・・いや、それは、まぁいいか!
 緒沢家に尽くす・・・て、さっきの態度やオレへのセリフと全然違うじゃねーか!?」
 「あたりまえだ! 今のお前が総代になったところで、
 ・・・それがスサや緒沢家の為になるのか!?」

・・・ようやくタケルにも全ての事情が飲み込めてきた。
つまり、カール・サルペドン・・・この男は・・・。
 「じゃ、じゃあ、いったいオレにどうしろってんだよ!?」
 「まだ、わからないのか?
 ・・・緒沢タケル・・・お前が成長すればいいだけだ・・・。
 お前の姉、緒沢美香に匹敵するぐらいにな・・・!」

タケルは口を開けない・・・。
マリアはふぅ、とため息をつく・・・、彼女もいろいろ苦労が多いのだろう。
 「・・・ようやく、結論になりましたね・・・。
 一時はどうなることかと・・・。」
そして、サルペドンの止めのセリフ。
 「どうせ、この男は普通に言ったって、話半分でしか聞けない男だ。
 今は、美香を失った悲しみが大きすぎる。
 このぐらい、ガツンと言わないと自覚できないのさ・・・!」