Lady Merry の日記

Yahooブログから引っ越してきました。

緒沢タケル第四章その42

 
その後のタケルは大人しかった・・・。
サルペドンに対する疑惑の解消、・・・謝罪・・・、
無論、そんな早く気持ちの切り替えもできるわけでもなく、
偉そうなサルペドンに対する、タケルの嫌悪感はそうそうぬぐえるものではなかったが、
当面は、真剣にサルペドン達の話を聞くしかない。
タケルには、それ以外の選択肢を見つけることはできなかったのである。

 「それで、タケル、今後の事だが・・・。」
 「あ、は、はい。」
サルペドンはサルペドンで、タケルの未熟さなど最初から織り込み済みなので、
疑われていた事など気にも留めてない。
大人の貫禄だろう。
それよりも大事な事は、山のようにあるからでもあるが・・・。

 「今のお前に、判断力や指導力など求めていない。
 だが、お前のカラダを見るに、緒沢家の神秘の血筋は体格面で発現してしまったのかな?
 ・・・身体能力は期待できるようだな、
 最も危険な・・・戦闘に参加する勇気はあるのか?」

この平和な社会で育ったタケルには、戦争など想像するだけでも恐怖なのだが、
ここ、数週間のゴタゴタから考えれば、それは自然な流れにも思える。
 「殺し合い・・・かもですよね・・・?」
 「・・・そういうことになるな。」
重い空気が部屋をつつむ。
だが、迷う事など出来ない・・・。
今も、大勢の人間が命を失っている。
 「わかりました・・・!」
 「よし・・・ではただちに訓練を開始する。
 現在、スサは騎士団と対等に渡り合える兵器の配備、
 そして兵士の最終訓練を行っている。
 お前が、ある程度使えるようになれれば良いのだが、あまり時間は待ってくれない。
 遅くても、日浦義純率いるオデュッセウス部隊がこの我らの拠点に攻撃をかけるまでに、
 いっぱしの戦闘技術は身につけてもらうぞ?」

・・・日浦義純・・・日浦さんと戦うことになるのか・・・。