Lady Merry の日記

Yahooブログから引っ越してきました。

緒沢タケル第四章その45

 
この浅黒い肌の、クリシュナという男も無表情だが、その割にはやたらと饒舌だ。
彼なりにタケルを歓待しているのだろうか?
 「それで、タケル殿。」
 「あ、は、はい!」
 「私の仕事もいろいろありますが、その内の一つに、各施設の管理や、
 宝物の整理とかもあるのですよ。」
 「・・・はい。」
 「君が美香様から引き継ぐ事になる神剣・天叢雲剣も、普段は私のところで管理する事になります。」
 「あ、そうすか、よ、よろしくお願いします・・・。」
タケルは答えた後に、ツルギの危険な特徴を思い出した。
 「あっ、で、でも、あれ、扱い間違えると危ないっすよ!?」
 「ん? ああ、分っております、剣の拒絶反応ですね、
 そこは美香様から聞いてます。
 それに・・・私の家にも似たような物がありますので・・・。」
 「似たようなもの?」
 「これから君にそれを見せたいのですよ。」

一行は、施設のさらに最下層と思われるフロアまで降りてきた。
照明は上の階と同じ明るさのはずだが、
なんとなく薄暗く感じるのは気のせいだろうか?
初めてこの場を訪れるタケルは、当然、周りをキョロキョロ見回しながら歩いているのだが、
そのうちに、マリアの表情に変化が現れている事に気づいた。
 「・・・どうか、したんすか?」
その問いにマリアは、瞬間反応するが、すぐには答えられない。
彼女の顔は、何か不快感を示しているようなのだが・・・。
そこへサルペドンが会話に入ってきた。
 「マリア・・・やはり、感じるか?」
 「ええ、ここへは久しぶりに来たけど、
 ・・・やはりあの部屋には入れそうにないわ・・・。」
勿論、タケルには何のことかはわからない。
 「な、なにがあるんです!?」