Lady Merry の日記

Yahooブログから引っ越してきました。

緒沢タケル第四章その44

 
白鳥が部屋を出た後、マリアが再びタケルを先導する。
 「では、タケルさん、サルペドン、行きましょう?
 施設内の設備と・・・主なスタッフの紹介と・・・、
 それに、クリシュナに鍵を開けてもらいましょうか?
 一応・・・あの宝物室へも・・・。」
珍しくサルペドンが驚いたようだ。
 「クリシュナが管理してるあの部屋へか?
 美香ですら入りたがらなかったあの部屋に?」
 「一応、ですよ。
 タケルさんの体格なら丁度良さそうじゃないですか?」
 「しかし・・・。」
一体、何の話をしてるんだ?
タケルは不安げに首を伸ばす。
 「あ、あの、今度は何を・・・?」
 「あ、ああ、慌てなくていい、すぐに教えるから・・・。」

これ以上、何があるって言うんだ・・・?
いや、・・・もうそろそろ、驚きも戸惑いも麻痺してきたかもしれない。
タケルの頭の中では、「まな板の上の鯉」の姿が浮かんでいた・・・。

スタッフ紹介の方は、滞りなく済んだ。
日本人スタッフ・・・さっき笑いかけてくれたおっさん、とりあえず「酒田」。
情報処理担当・・・ダイアナ、メガネをかけたやや豊満な女性、中央アジア出身?
それから、兵器部門担当の・・・デン・テスラ。やや、垂れ目の無表情な男・・・。
こいつがインディアンとか言ってた奴か? 
戦闘部隊グログロンガ・・・サルペドン並に無愛想な男だ。
それと、組織中、かなり高位と思われる中年の坊主頭の男、ラーマ・クリシュナ・・・。
彼らについては、またどこかで話をする機会があるかもしれないが、
とりあえず、タケルが、この場で観察できるのは、インド人のクリシュナだけだった。
唇の上に薄い髭をたくわえたその男は、
サルペドン、マリア、そしてタケルを伴って、通路に出る・・・。