Lady Merry の日記

Yahooブログから引っ越してきました。

緒沢タケル第四章その46

 
 「私が答えましょう。」
と、言ったのはクリシュナだ。
 「タケル殿、私の先祖は代々、戦士階級でしてね、
 表向きはヴィシュヌ神を崇めている事になってたのですが、
 一族の秘儀においては、破壊と豊穣の神、シヴァ神に帰依しておりました。
 緒沢家に伝わる天叢雲剣同様、
 私の家系にも、そのシヴァ神ゆかりの、古から伝わる武具がありまして・・・。」
 「武具?」
 「そう、ただ・・・。」
 「ただ?」
 「その武具を扱える者がいなかった・・・、
 いや、ムガール帝国時代に、たった一人だけ、
 その武具・・・鎧を身につけれる戦士がおりましたが、
 それ以外、誰もその鎧を装備できる者がいなかったのです。」
 「それって・・・ああ、もしかしてすげぇ重たいってことか?
 あ、それでオレぐらいの体格じゃないと・・・ってことかい?」
タケルは我ながら論理的に考えられたかな、と自分で思い込んでしまったが、
周りの反応は違うようだ。
あ、そうか、・・・そうなると、マリアさんが部屋に入れないのって、どう説明するんだ?

そうこうしているうちに目的の部屋に辿り着いたようだ。
 「ま、見てもらうのが一番ですかな?」
そう言いながら、クリシュナは部屋のロックを外す。
マリアは他の三人から距離を置いている・・・。
 「?」
 プシューッ・・・!
空気圧の音とともに部屋の扉が開かれる。
中は真っ暗だが、部屋に入ったクリシュナがすぐに電気をつける。
 「さ、タケル殿、入ってください。」
クリシュナの声には、まるで警戒すべきものは感じられないのだが、
マリアの様子が・・・。
しかし、ここまで来たら入らないわけにもいかない、
タケルは覚悟を決めて部屋の中に入る・・・。