Lady Merry の日記

Yahooブログから引っ越してきました。

ランディ プロローグ53

 
 パッパカパッパッパー♪
 ドンチャンドンチャン♪

アルヒズリ王宮に音楽隊の行進!
テルアハの街を襲ったイルの大群を、一人の死者も出さずに蹴散らした戦果は、
あっという間に国内に伝わった。
しかもエア王の預言で示された若き戦士が、たった一騎で戦況をひっくり返したのである。
こんな快挙は何年振りかもわからない。
そして、ランディは丁重なる厚遇を以って、
テルアハの街からアルヒズリ王宮に向かうよう指示が出された。
・・・彼自身、王都に来るのは初めてだ・・・。
複雑なつくりの都市や城、
象が歩けそうなほど緩やかで大きな石の階段・・・。
そして何と言っても、これまで見たこともないような大勢の人々が、
街道沿いや家の窓から馬上の自分に向かって笑顔を向けている・・・。
 どうしてこんな事になっちまったんだ・・・?
先の戦いでは兜を外していたのだが、
さすがにここでは恥ずかしさの為に兜もかぶって行進する・・・。
彼は照れ隠しのため、
意図的に無表情を装い、その兜で顔を隠したまま王宮に参内した。

文官だか召使だか分らない格好の男に案内されて、
大広間の控えの間で待たされる。
どうやら国王エアに謁見する準備を整えているようだ・・・。
 オレ・・・そこまで目立つ事をしでかしちまったのか・・・?
なるべく緊張や気弱さを隠しながら、ランディは案内してくれた男に、
宮廷でのマナーやタブーを聞き始める。
勿論、ある程度のマナーは祖父から聞いているが、
いきなりのことで、どこまで自分が失敗を犯さないか、気が気でしょうがない。
今は胸のメダルの興奮効果は落ち着いてるようだが、元来の臆病さは変わらずなのだ。
 兜と武器は当然、外して・・・と。