Lady Merry の日記

Yahooブログから引っ越してきました。

有人火星探査船フォーチュナー 7

 
 「ドナルド? 例えば宇宙空間に磁気嵐とか・・・大量の宇宙線が流れてるとしたらどうだ?」
 「ううむ・・・、可能性はあるが、
 そうなると船の感知機器類のみ影響を受けて、
 船内のその他の機材や、生命維持システムには全く影響がないというのか?」
ツナヒロは頭をかく。
 「・・・そうだよなぁ・・・。」

彼らは全ての可能性を考慮し、
その後、できうる限りの対応策を行った・・・。
具合の悪いモートンも、
しばらくすると体調を回復させ、
3人で対応策を協議するのだが、
いかなる行為も、現状を改善させることはできなかった・・・。

そして1ヵ月が過ぎた・・・。
本来なら、もう火星に到着しているはずである。
計器がすべて元に戻り、地球への通信が再開できたとしても、
もう当初の目的を遂行させることなど、できはしない。
・・・それより深刻なのは、ここで飢え死にしてしまうことである。
あと2か月分の食糧はあるが、
その間に、地球に戻ることができなければ・・・。
いや、もしも、このまま何の解決策すら見出せず、絶望のみが彼らの心に満たされたならば・・・、

そこから先の想像を口に出せる者などいない・・・。
自暴自棄にはなりかけていたが、
不屈の精神力で、今、自分たちにできる事を必死に繰り返していた。

そんなある日、
ツナヒロがあることに気づいた。
既にモートンは、寝たり起きたりを繰り返していたが、
体重も激減し、ベッドにいる時間の方が長くなっていた・・・。
ツナヒロはドナルドに向かって叫ぶ。
 「ドナルド・・・! 来てくれ!!」