Lady Merry の日記

Yahooブログから引っ越してきました。

有人火星探査船フォーチュナー 8

 
 「ど、どうした、何かあったのか!?」
 「ドナルド、ハハッ! 落ち着いて聞いてくれ、
 数日前から、肉眼で見える星々のうち、
 一つだけ、他の星と異なる動きをしているものに気づいたんだ!!」
 「なに!? 惑星か!?」
 「今、モニターに映し出してみよう・・・。」
彼らが注目する画面に、小さな光の塊が映し出される。
 「倍率をあげていくぞ・・・。」
どんどんその光は大きくなり、
そしてその姿も明確になっていく・・・。
この見覚えのある映像は・・・
 「おい!? これは!!」
 「ああ、火星なんかじゃない!!」
そこには青い模様と白い雲らしき層で覆われた、彼らがよく知っている星の姿が映っていたのだ!!
 「お・・・オレ達!
 帰ってきてたんだ!!
 あ・・・あああ、生きて帰れるぞ!! ツナヒロ!! お・・・オオオオレ達・・・!!」
ドナルドの顔が涙で溢れた。
無理もない、この極限状況で気を張り詰めてきたのだ!
ツナヒロだって目頭が熱くなっている。

すぐにノートンにも知らせようと様子をうかがいに行く。
ノートンはすっかりやつれてしまっているが、
このとき、まだ意識はしっかりしていた。
 「そ・・・そうか、地球に戻れたんだ・・・ああああ、良かった・・・。」
 「そうだ、、モートン! だからもう少し頑張るんだ!!
 あと少しだからな!!」
彼らにとってこれは最高の喜びの発見であったが、
船の状態そのものは、完全とは言えなかった。
地球の観測ができたことで、
当然、太陽の位置も把握できた。
・・・今までなぜ、太陽の存在すら確認できなかったのだろう・・・。
そして不思議な点は他にもある。
速度計の針も、通常のスピードの位置に戻っているのだ。
現在位置を示す計器は、全て正常なのである。