Lady Merry の日記

Yahooブログから引っ越してきました。

有人火星探査船フォーチュナー 12

 
 「ノートン・・・? おい、ノートンっ!?」
すでにノートンは首をうなだれさせていた・・・。
もう意識はない様子だ。
まさか、最悪の事態が・・・?
そしてその二つのショックで、ツナヒロたちもミスをしてしまった・・・!
着水地点の見込みを誤ってしまったのである。
安全に着水するためには、このままこの角度で降りるしかない・・・。
だが・・・この場所はいったい、何所に・・・!?

着水と同時にまたもや船体を衝撃が襲う。
だが、大気圏突入時の激しさに比べればなんてことはない。
そのまま海水面を滑るように東に進み、
やがて宇宙船フォーチュナーはその推進力を失い、
波の上に漂うだけとなった・・・。

 「モートン・・・、モートン! おいモートン、しっかりしろっ!?」
すでにモートンは彼らの呼びかけに反応することはできなくなっていた。
哀れなるモートンは再び、母なる地球の空気を吸うこともできないまま、
この世を去ってしまっていたのだ・・・。
 「モートン~・・・、ようやく・・・ようやく帰ってこれたのによぉ~っ!!」
その悲しみはツナヒロもドナルドも同じものだ・・・。
だが、彼らには悲しみに暮れている暇はない。
今、自分たちがいる場所がどこなのか、
その特定もしなければならないし、
自分たちを発見する国がどこになるかで、外交上、ややこしいことにもなりかねない。
本来なら、NASAを通じて合衆国政府が何らかの措置を取るべきはずだが、
これまで一度も通信が回復してないことからも、
NASAなり合衆国が自分たちの位置を把握できているとも思えない。
ドナルドはまたもやあらゆるチャンネルに通信を試み、
ツナヒロは信号弾を上げ、救助のサインを出す。