Lady Merry の日記

Yahooブログから引っ越してきました。

施設の男 10

 
だあ、もう腹をくくるしかない。
そのまま手を出して、引っ張り上げられる。
入り組んだ迷路のような隙間を這いまわると、だんだん悲鳴が大きくなっていく。
怒鳴り声も時々混じってるようだ・・・。
拷問部屋でもあるのか?
それともここは刑務所なのか?
だとしたら、なぜ、こんなに悲鳴の声は若そうに聞こえるのだ?
 目の前が明るくなっていた。少し先の床に小さな隙間があるようだ。
男はその隙間から下を覗くようにツナヒロに指示を与える。
いったい何が・・・。

・・・それは信じられない光景だった・・・。
隙間から見える景色はほんの一部であったことは分かる・・・。
だが・・・そこは・・・。
まだ年端もいかぬ子供たちが、
互いに武器を持ちながら自分たちでケンカ・・・いや、下手をしたら殺し合いをしているのだ!
床は彼らの血や体液でどんどん汚れていく・・・。
倒れた子供は、その汚い床でビクビク体を痙攣させていた・・・。
その内、カラダが動かなくなると、
周りの無表情な子供たちが、無造作に担架に運び去ってしまう。
そしてその後は、控えの子供たち・・・彼らもまるで幼稚園児か小学生ぐらいの年齢か、
その子供たちがモップや雑巾で辺りを清掃していく。
それが終わるとまた戦いだ!
 思わずツナヒロは振り返る!
 「こ・・・ここは何だ!?」
 男の眼は冷たいまま・・・。
 「施設だよ。」
 「だから何の・・・何のための施設だ!!」
 「・・・戦争で身寄りのなくなった孤児・・・
 親に捨てられた子供、犯罪を犯しながら生きながらえてきた子供たちが、
 ここに集められ、育てられる・・・。」
 「育てられる? 殺されてるじゃないか! しかも子供同士で!?」