Lady Merry の日記

Yahooブログから引っ越してきました。

ユェリン 2-4

 
 「その時・・・あなたはどんな気分でいらっしゃるのでしょうか?
 ユェリンはそんな事、考えたくないんです!
 でも・・・でもつい考えてしまうのです!
 あなたが夜遅くこの部屋に帰ってくるとき、
 どうして私があなたの元へ駆け寄るかおわかりですか?
 日中、あなたを待っている間、私はいっつもそんな恐ろしい未来に怯えているのです!
 
 もし、今晩、ツナヒロ様が帰ってこなかったらどうしよう!?
 部屋に突然、役人がやってきて『お前は用済みだ』と言われたらどうしよう!?
 こんなに恐ろしい未来がやってくるのなら・・・、
 ユェリンはツナヒロ様に愛されない方が幸せなのじゃないでしょうか?
 ただ、お傍で控えて・・・、
 夜はあなたの性欲を満足させるだけで良いのなら・・・
 いえ、本来それが私の役目なのです。
 私はツナヒロ様を愛する資格も権利もありません。
 ですから、ツナヒロ様も私のことなど・・・」

 「ユェリン・・・ごめん・・・。」
ツナヒロはそこまでユェリンの話を聞いて全力で彼女を抱きしめた。
それ以上、彼女の言葉に反論することも慰める事もできはしない。
結局、二人は互いの質問に真正面から答えを返したわけではない。
確認できたのは互いの思いだけであろう。
少なくとも、ユェリンの告白は、
あの施設の男の話と矛盾するものでも、補強したものでもありはしない。
だが、はっきりしているのは、
ツナヒロがこの九鬼から出てゆくのなら、
二度と彼女には会えないということだけである。

後一つだけ・・・、
さっきの質問の答えとしては、
はぐらかされたような形だが、それはそう大した問題ではない。
だが明日になるまで、どうしてもはっきりさせなけばならない事がある。