Lady Merry の日記

Yahooブログから引っ越してきました。

第二十一話

 
山本依子が突っ込む前に、エリナは誇らしそうに微笑んで見せる。
 「今さっきだって、まだ友達のいない私に、皆さんを紹介してくれたじゃないですか。」
それに関しては、3人とも反論できなかった・・・。
誰も斐山優一の行動を理解できない。
いや、加藤恵子だけ、
ほんの少し・・・優一の優しさに触れた事がある・・・。
 もしかして・・・私たち、斐山君の事・・・とっても誤解してたんだろうか・・・?

自分の心にわいた疑問に、ついに我慢できなくなった加藤は、
本来なら黙っているべきことを、エリナに聞いてみることにした。
斐山君、ごめんなさい!!
 「エリナちゃん、あの・・・。」
 「ハイ?」
 「あのね、斐山君て中学の頃、悪さばっかりしてて、
 あたしたち、みんな怖がってたの・・・。
 だから、斐山君が優しいなんて、あたしたち、びっくりしてるんだけど・・・、
 本当はどうなんだろ?
 斐山君がエリナちゃんの前で、いい人ぶってるだけなのか、
 ・・・それとも彼って、実は誤解されてただけの男の子なのかなって・・・。」
鮎川クンは「何て事を! そんなこと話したのがヤツにばれたら、また・・・!」
と言いかけたのだが、その答えは彼だって聞きたい。
エリナは果たして何と答えるのか・・・。

エリナも実際、優一を観察しているのは、まだほんの一週間である。
そして彼がどんな生活をこれまで送ってきたのかは、
優一の母親からそれとなく聞かされていた。
自分にはまだ優一を「信じる」というレベルにまで、
深く交わった自覚があるわけでもない。
だが、エリナも高い知性を認められて、日本に送られてきたのだ。
優一が何故、そんな性格になってしまったのかは、
これまでの時間で、なんとなくだが、ある程度理解し始めていた・・・。