Lady Merry の日記

Yahooブログから引っ越してきました。

第二十二話

 
エリナは足を止める。
 「・・・いい人か悪い人か・・・は私にはまだわかりません。
 でも、皆さんはまだ、優一さんの事をよく知らないだけなのではないでしょうか?
 きっと優一さんも、自分の本当の姿を他人に見せたくなかったのかもしれません。
 もし、あの人が少しずつ、心を開いて見せたら、
 きっと皆さんの考えも変わると思いますよ・・・?」
エリナの言葉には不思議な説得力があった・・・。
勿論、その言葉を100%受け入れることなどできはしないが、
加藤はじめ、山本依子も鮎川クンも、
「少しアイツを観察してみようかな・・・。」と思ったことは確かである。
そのまましばらく、会話が一度途切れて、
駅前の商店街を通り過ぎるころ、
再び山本依子の強力な一撃・・・。
これを聞かないわけにはいかないっ!!
 「ね、・・・そ、それでエリナちゃん、
 あの斐山君がいい人か悪い人かは置いといて・・・さ。」
 「置いといて?」
 「あなたは、斐山君の事どう思ってるの?
 そ、そのー、異性としてさ・・・!」
加藤が必要以上に興奮しながら依子を制す。
 「ちょっと何言い出すの、ヨリ!!」
鮎川クンだって同様だ。
 「お前、さっきオレにはなんつったよ!?」
 「うるさい! これは大事な問題よ!!
 第一、お前みたいなエロと一緒にすんなっ!」
実際、同じ日本人同士なら、他人の「恋する瞳」は結構バレバレなもんだが、
異文化の異邦人だとそれは勝手が違う。
はっきり、確かめないことには・・・!
そして、そんな事を聞かれたエリナはまたもや仰天するものの、
さすがにこれは意表を突かれ過ぎて、どう口を開けばいいかわからない。
 「依子さん、それって・・・あの、その、
 だ、男女の・・・いわゆる恋愛対象としてってことですか・・・?」