Lady Merry の日記

Yahooブログから引っ越してきました。

第三十一話

 「ひ・・・斐山君!」
 「ん? 何だ、・・・何の用だ?」
相変わらず、ぶっきらぼうと言うよりも、さぞ迷惑だぞとでも言わんばかりのこの態度。
大抵の状況なら、ここですぐに逃げ帰りたくなってしまうだろう。
だが、今はそんな事は言ってはいられない。
 「あ、あのね、さっきエリナちゃんがね・・・!
 あの朝田って人ととんでもない約束をしちゃって・・・。」
 「約束? ああ、あのくだらないヤツか。」
 「し、知ってたの?」
 「あんだけでかい声で騒げば誰だって聞こえる。
 それで?」
 「そ、それでって、
 このままだとエリナちゃん、あの人とデートしなくちゃいけなくなるんだよ!?
 もし、あの人に変なこととかされたらどーすんの!?」
斐山優一はかったるそうに、その場にしゃがみ込む。
 「・・・どうって、オレには何の関係もないだろう?
 エリナとあの勘違い男が交わした約束なんか、どうだっていい。」
加藤は思わず、ブッちぎれた。
相手があの、不良も恐れる斐山優一だということを完全に忘れきっているのか・・・。
 「何て冷たいこと言うの!!
 あの子が斐山君に・・・あ、
 じゃなくて、仮にも一緒に住んでるんでしょ!?
 それに、あの子は斐山君をとっても信頼してるよ!!
 そんな彼女が困ったことになってる時に、心配してあげたっていいじゃない!!」
遠くから鮎川とヨリが、加藤のあまりにも命知らずな行動に肝を冷やしまくっている・・・。
あの子、いつからあんな勇気が・・・
じゃなくて、やっぱりネジが抜けてるんだぁ~・・・。
一方、斐山優一は加藤の攻め言葉を全く意に介していない。
 「・・・うるせーなぁ、
 だからって、なんでオレがアイツのケツをふかなきゃなんねーんだよ・・・?」
 「ケ・・・そ、そんな事言って、
 斐山君、いっつも冷たい振りして実は優しいじゃない!
 あの時も、私を公園から送ってくれて!
 ね? エリナちゃんを助けてあげてよ!
 それがダメならせめてあの子に優しい言葉を・・・!」