Lady Merry の日記

Yahooブログから引っ越してきました。

13.朱武、宋公明に告白する

 
とりあえず、テーブルやら椅子やら、場を片づけてから、
宋公明は、相変わらず目は笑わないまま、
一人高笑いを続けながら、話を続ける。
本当に今日は愉快なのだろう。
 「まぁ、今日は本当に、飲んで食べて帰ってもらって構わないから、
 今後もよろしく頼むよ、朱武君に李袞先生・・・!」
李袞は苦笑いを浮かべて、宋公明に対応するが、
朱武は無表情のままだ。
頭をぶったたかれて、痛いわけでも、
担がれたことに不機嫌になってるわけでもない。
彼がここに来る前に感じていた危惧・・・。
それを警戒しているだけなのだ・・・。
そしてそれは・・・。

 「いえ宋先生、
 やっぱりさっきの話はなかった事にしてください、これからも。」
また話を蒸し返すのか?
李袞が朱武を一喝しようとする前に、
朱武はその先の話を続けた。
 「訳を言います、宋先生、
 オレは命を狙われています。
 あなたに近づくと、あなたの命も危険になります。」
いきなりの話題の展開に宋公明は二の句が出ない。
だが、全てを察している李袞が朱武をたしなめた。
 「その話はやめろ、朱武!
 まだお前は!!」
 「でも李袞先生、
 話が大きくなってからでは手遅れだ。
 今のうちに摘める話は摘んでおかないと・・・。」
ほんの数秒の間の後、
宋公明の形相が変化した・・・。
口元は小さく閉じられ、眉も平たんに・・・、
そこにはクールで理知的な政治家・宋公明の本当の顔が現れたのである。