Lady Merry の日記

Yahooブログから引っ越してきました。

・四人の使徒「朱武」

18.追憶する李袞、かつての死闘に思いを馳せる

帰り道、林沖に車で送られた後、朱武と李袞は道場に戻っていた。 「どう思う、朱武、あの宋大人を・・・。」 「どうって・・・まぁたいしたもんだよ、 初めて会ったこのオレにあんなことを言い出すなんて、 よっぽどのバカか器が大きいのか、それともその場…

17.山東の白い鷹、宋公明の庇護を得る

「・・・なるほど、よくわかったよ、朱武君・・・!」 宋公明は、完全に厳しい威厳のある表情に戻っている。 恐らくこっちが本当の顔なのだろう。 「ではこうしよう・・・私が君のバックアップ・・・後見役となろう、 君にその・・・徴とやらか? それが訪れ…

16.朱武を導く者たち

一方、師の李袞はしばらく考えていたようだが、隣の朱武に目を合わせてから宋公明に向かった。 「実を言いますと、宋大人・・・、 朱武は・・・この子には、 私以外にもう一人、武術の師と言える者がおりましてな・・・。」 「ほう、それは初耳ですな、それ…

15.導く宋公明、四使徒と九頭蛇を語る

宋公明は片手をあげて制止する。 「いえ、今回その件は、あなたがたをお招きするに当たり、 全く想定しておりませんでした。 ただ、私もここ数年、その・・・夢の話ですよね? 同じ内容の夢を繰り返して見てしまうので、 各方面に、その内容が意味することを…

14.『夢』を知る宋公明、朱武を導く

「朱武君・・・李袞師範・・・今の話は本当かね? 話しぶりからすると、武の世界で名を上げたキミへのやっかみとかではなさそうだな・・・。」 朱武は少し間をおいて、頭を下げながら説明する。 「すいません、 正直、宋大人、あなたも信用できるかどうかオ…

13.朱武、宋公明に告白する

とりあえず、テーブルやら椅子やら、場を片づけてから、 宋公明は、相変わらず目は笑わないまま、 一人高笑いを続けながら、話を続ける。 本当に今日は愉快なのだろう。 「まぁ、今日は本当に、飲んで食べて帰ってもらって構わないから、 今後もよろしく頼む…

12.李袞地に頭をこすりつけ、宋公明高らかに笑う

そして目ん玉をまん丸にして、開いた口がふさがらないのが宋公明と林沖だ。 無理もない、 いくら強いとは知っていても、 朱武の身長は170前後、 体重は70kgにも満たないはずだ・・・。 ましてやまだ彼はたったの15歳・・・。 それを・・・2倍近い体…

11.李鉄は部屋の端まですっ飛び、朱武は床にうずくまる。

あっという間に吊りあげられる朱武・・・、 部下の暴走に宋公明と林沖は慌てるが、当の朱武は涼しい顔だ。 「放せよ、牛・・・。」 その瞬間、朱武の指先が、掴みあげる李鉄の内肘にめり込む!! 李鉄の、分厚い筋肉やら脂肪やらは全く用をなさずに、 朱武の…

10.無礼な朱武、殺意の李鉄

そこへ、宋公明の後ろに控えていた林沖が、笑いながら間に入ってきた。 「そんな難しく考えなくていいですよ、 宋先生は拳法家や格闘技に目がないんです。 この屋敷にはそんな人間が大勢集められていますけどね?」 宋公明はそれに合わせて笑っている。 「い…

9.朱武スカウトされる

慌てて宋公明は顔の前で手を振る。 「あああ、いやいや、そんな気遣いまで! いえ、実は・・・お願いがありましてな。」 「はて? 我々に、ですか?」 「ええ、特に朱武君にとっては良い話かと・・・。」 朱武は指を自分の顔に向ける。 「えっ? オレに?」 …

8.朱武の出自

そろそろ質問も細かくなり、宋公明も遠慮を覚えたのだろう、 多少、申し訳なさそうに李袞たちに突っ込んだ。 「あー、それで、大変失礼だが・・・、 朱武君たち・・・妹さんもだが・・・、 アレなのかな・・・、親御さんはどこの誰かとかは・・・。」 中国で…

7.李袞の過去

宋公明のハイテンションは続く。 「それで、李袞先生! あなたの拳法家としての実力は、かねてから聞き及んでおりますがが、 この朱武君はどうですか? 師範の貴方の目から見て?」 「フム・・・、本人の目の前で言いたくはありませんが、 資質は私を越えま…

6.宋公明大人

やがてその宋公明がやってきた。 先ほどと同じく、林沖という名の礼儀正しい男と、 李鉄という柄の悪い巨漢も一緒だ。 ・・・宋公明は想像より遥かに小柄だった。 身長165弱と言ったところか、 体格も、役人にありがちな肥満系ではあらず、 その頬にもた…

5.李鉄と林沖

「・・・なぁにジロジロみてやがんだぁ・・・!?」 バックミラー越しに、その人相の悪い男がインネンふっかけてきた。 すぐさま運転席の男がたしなめる。 「李鉄! 失礼だぞ!」 「何言ってんだよ、林沖兄貴ぃ! こいつらのほうが・・・!」 「黙れ! お前…

4.朱武と李袞、役人に呼び出される

朱武が若者らしく、戸惑い気味に来客者に向かって頭を下げると、 その男も礼儀正しく微笑を浮かべて礼を返す。 朱武がこの客の事を李袞から聞き出そうとする前に、 男はすぐに李袞と会話を始めた。 「李袞様、 こちらの少年が朱武君ですか? なるほど、精悍…

3.朱武と李袞師範

「朱武さん、お帰りなさい! 先生がお部屋でお待ちですよ!」 「りょーかぁい! すぐ行くぅ!!」 かつて・・・その強さと名を轟かせた山東の虎・李袞は、 その拳の戦いで大怪我を負って以来、 若い子供たちの育成を目的に、この道場で多くの門下生を指導す…

2.朱武と梨香 2

苦しみまくる朱武を、腕組みして偉そうに見下す少女、梨香。 「そりゃあ、史上最高かつ全世界最強をのたまう朱武お兄ちゃんの妹ですから? それより、李袞先生が早く呼び戻せってカンカンだよ? 早く帰んなきゃ!」 二人は骨格はまるで違うが、目元は似てい…

1.朱武と梨香

中国山東省のある一都市・・・。 そこそこ人口も多く、最近は産業も発達し、高層ビルも増えてきたこの街・・・。 だが、主要道路の裏側にいくと、 前近代的な面持ちの古臭い家やビルがいくつも建っている。 たまに道沿いに、屋台やビリヤード台が置かれ、 ヒ…