Lady Merry の日記

Yahooブログから引っ越してきました。

新たな難題

 
あっという間に鉄アレイを取り上げられるタケル。
それにしても信じがたい回復力だ。
今や、髪も伸び、耳も完全に隠れたボサボサ頭のタケルは、
うすら笑いで何とかごまかそうと必死だ。
 「え、いやあ、病室の中、何もすることがなくて、
 そーすっと、やっぱり体がウズウズというか、少しでも鍛えとこうかと・・・。」
アベ先生、もう半狂乱だ。
この人、血圧とかは大丈夫なんだろうか?
一方、サルペドンは開いた口がふさがらない。
医学知識は彼も専門外だが、ここまでの回復力を見せつけるタケルに呆れるというか、
本当に驚いているのだ。
だが、サルペドンもここに驚きに来ているわけではない。
そろそろ、タケルにも戦闘以外でスサ総代としての仕事をしてもらいに来たのだ。
 「タケル、具合は良さそうだな?」
 「ああ、なんとかね、左手はまだ完全じゃないが日常生活はなんとかなるぜ。」
 「そうか、それは良かった。
 それではそろそろお前にやってもらいたいことがあるんだが・・・。」
ギクリ・・・!
 「あ? な、何を・・・?」
 「何をじゃない、
 お前はスサのトップなんだ。
 まずは騎士団との戦いの総責任者として、
 あいつらを今後、どうするのかお前の考えを言ってみろ。
 別にスサは、お前の考えが全て通るような独裁型の組織じゃないから、
 お前の意見が現実離れしてるようなら私が却下してやる。
 こないだ、私が現状を伝えてから時間はたっぷりあったんだ、
 何も考えていない筈もあるまい。」
オレがトップだって言うなら、もう少し敬えとは言わないが、それなりの礼儀をとれよ・・・。
ブツブツ文句を言いたいのを堪えてタケルは少し考えた。
勿論、今まで何も考えてこなかったわけではない。
一度、タケルは病室の窓を見た。
窓の外に何があるわけでもない、
頭の中を整理してみたかったのだ。