Lady Merry の日記

Yahooブログから引っ越してきました。

タケルの次の仕事

 
タケルは自分で喋った後、その場の静けさに急に自信を失った・・・。
何しろ、サルペドンは、サングラスで表情を隠したまま、無言でタケルに向き合ってるのだ。
そのプレッシャーはいつまで経っても慣れるものではない。
 ・・・またバカにされたら・・・。
しかし、サルペドンは静かに口を開くだけだった。
 「タケル・・・今の意見は・・・。」
 「あ、ああ?」
 「自分が美香だったら、どう答えるか・・・、とも考えていた上での意見じゃないか?」
見抜かれてる!!
恐ろしいヤツだ・・・!
 「え、ええ、ああ、まぁ・・・でも・・・ダメ?」
サルペドンはため息をついたが、その口元は緩んでる。
タケルの口調や論理展開は、姉・美香と比べるものでもないが、
タケルの最後の決意の表情に、かつての美香の面影を見たのである。

本当に美香は、弟に全てを受け渡したのだな・・・。

珍しくサルペドンは、自分自身が感傷に浸っていることに気づいた。
今はそんな暇すらないというのに・・・。
 「・・・なるほど、お前の意見は尊重しておく。
 マリアや、スサの各地の長老たちにも私から話しておくよ。
 それでまとまるようなら、改めてアーサーたちに申し入れるとしよう。」
このサルペドンの対応もタケルには意外だった。
また、子供っぽいと一笑に付されるかもと思っていただけに・・・。

だが、難題はさらにあるのだ。
 「それからな、タケル。」
 「あ? まだ・・・なにか?」
 「来週あたり、お前も遠出できるようになる筈だ、
 スサ総代の人間として・・・。」
 「え?」
 「彼女の・・・戦死したダイアナの故郷に行く・・・。
 長年、スサに尽くしてくれた彼女の死を、家族たちに知らせに行かねばならない・・・。
 他にも多くの戦士たちが亡くなったが、
 末端の者たちには私とマリアで、今まで弔問を済ませてきた。
 だが、ダイアナは幹部だしな、
 お前が先頭に立って挨拶しに行った方がよかろう。」