Lady Merry の日記

Yahooブログから引っ越してきました。

砂漠の上空

 
 「上から見るとミニュチュアのおもちゃみてーだな・・・。」
スサ移動型戦闘基地ガルーダは、翼を広げ、広大な中国タクラマカン砂漠を横断していた。
どこまでいっても砂砂砂・・・。
変わる景色は砂の風紋と空の雲・・・。
改めて、地球の広さが認識される。
それでもさすがに高速の機動力を誇るガルーダだ、
やがて景色に変化があらわれ、
塊のような緑や、人口の建造物も見えてくる。
デン・テスラの説明では、あと30分ほどで砂漠地帯は完全に抜け、
森林・山地のエリアに入るようだ。
肝心のウィグルという村は、そこから更に奥地らしい。
 「そもそもウィグルってどんな所なんだい?」
タケルは頭の回転そのものは、そんなに悪い方じゃない。
「勉強は苦手だ」と思い込むことで、あまり学力的な知的好奇心を伸ばしてこなかっただけである。
それよりバカな友人たちと遊んでた方が楽しかった。
勉強なんてする時間は惜しくてたまらない。
だから、彼があまり世間的な常識を知らなくても、それほど不自然なものでもない。
説明はマリアに任そう。
 「タケルさん、まず、ウィグルというのは二つの場所があります。」
 「二つ? へぇ?」
 「まずは有名な中国の新疆。
 新疆ウィグル自治区と呼ばれ、中国内でも最大級の少数民族が住んでます。
 少数民族と言っても1000万近い人口です。
 ウィグル人はモンゴロイドコーカソイドの混血とされていて、
 言語的にはトルコ人とかなり近い遊牧系の民族です。
 日本語とは文法が一緒ですから、日本に来る留学生も多いそうですよ。」
 「ふむふむ。」
 「それとこれから私たちが向かうのは、
 そのウィグルとはまったく別種の・・・、
 人種的には完全にアーリア系のようですが、
 長い間、隔絶された地域に閉じ込められていたために、
 他の民族と融和する機会が全くなかった幻の民・・・、
 数万年前古代王朝の子孫を自認する一族の築き上げた村・・・、
 それがこれから向かうウィグルです。」