Lady Merry の日記

Yahooブログから引っ越してきました。

風のように消えた少女

 
カラフルな民族衣装から判断しても、この村の女の子である事は疑いえない。
ただ、今までこの村の女性は肌を隠していた姿しか見てないが、
この少女は膝から下は動きやすさを重視してるのかむき出しだ。
肩にかかるくらいまでの髪は軽めにウェーブがかかっており、活発な印象も受ける。
それだけにその感情は激しそうだ・・・。
 「キ・・・君はこの村の!?」
思わず呻いたタケルだが、その少女はその問いに答えない・・・。
吐き捨てるような動作でタケルに向かって侮蔑の言葉を投げ捨てた!
 「許さない・・・! よくも・・・みんなを・・・!
 絶対に許さないからねっ!!」

・・・だが、タケルに少女の言葉は届かない・・・。
お互いさまなのだが、互いの言語が分からないのだ。
タケルにしてみれば、なぜ、自分が攻撃されたのかも分からない。

 「タケル、どうした!!」
今の騒ぎで、サルペドン達が異常に気づいた。
すぐにタケルの元に集まり始めるのを予想してか、
その少女は尻もちついてるタケルを一瞥すると、
すぐに振り返って、村の外れの林の中に潜り込んで消えてしまった・・・。
 「タケル! 今のは!?」
タケルの目に、少女の表情がこびりついてしまったためか、
すぐに口を開けない・・・。
あの、怒りと悲しさが同居していたあの顔に・・・。
ようやく、起きあがると同時に、
タケルは周りのみんなに状況を説明することができた。
 「ああ、17,8くらいの女の子がいた・・・、
 たぶん、この村の生き残りだろうと思うけど、
 オレを見て攻撃してきやがった・・・。」
 「攻撃? いきなりか!?」
酒田のおっさんの問いに、タケルは頷く。
 「挨拶も問いかけも無しにね、
 ・・・まぁ、周りがこんな状況じゃ・・・、
 知らない顔は全部敵と思っても仕方ないのかも・・・。」