Lady Merry の日記

Yahooブログから引っ越してきました。

襲ってきた少女

 
タケルにしても、数々の無残な死体を見つめながら、
他に手がかりはないかと、
一人、別の通りへ探索してみることにした。
左手は固定こそしているものの、ギブスは外している。
その真下の腰には天叢雲剣も吊下げている。
いざとなったら、右手だけでも戦うつもりなのだろう。
戦闘に来たわけではないので、ルドラの鎧こそ装備してはいないが、
「紋章」も肌身離さず首からぶら下げたままだ。

 ゴトッ

・・・今の音は・・・?
一度タケルはみんなの方を振り返る。
視界には全員揃ってる・・・。
今、音が聞こえた方向に仲間はいないのは間違いない。
では風か?
・・・そんなもん、この辺りでは吹いてねぇ・・・。

 タケルは慎重に・・・、
仲間を呼ぶことも考えたが、
もし誰かが隠れているのなら、その隙に逃げ出してしまう恐れを考慮した。
このまま、今の音の正体を突き止めてやる・・・。

一歩・・・また一歩と踏み出し、
建物の陰から顔をそーっと、覗いた次の瞬間!
ヒュッ、という風切音とともに何かが目の前に迫ってきた!!
 「うわっ!」
天性の反射神経で避けたはいいが、
バランスを崩して思わず尻もちをつく。
だが、倒れてる場合じゃない!
い、今のはどこから・・・!?
モノが飛んできた方を辛うじて見やると、
そこに一人の人間・・・

年のころ17、8と思われる女の子が・・・
あ・・・あれは鞭か!?
使い古されたような鞭を握りしめ・・・、
いや、そんなことより、泣いている・・・
泣き崩した顔を必死でこらえているかのように立ちつくしていたのだ・・・!