Lady Merry の日記

Yahooブログから引っ越してきました。

転がリ始めた一家

 
最も早くその変化に気づいたのは母親だ。
いつものご近所さんの態度がやけに余所余所しいのだ。
集団に参加する時はそうでもないのだが、
一対一で主婦仲間に話しかけると、
壁でも作られたかのように、しゃくし定規の挨拶で終わってしまい、
世間話をすることも出来なくなってしまっているのだ。

ある朝なんかは、
ご近所さんのグループに声をかけようとしたら、
母親の姿を見るや否や、あっという間に散会してしまった。
まるで腫れモノでも見つけたのかのように・・・。

何かがおかしい・・・。
娘のフラアのほうも、
ご近所さんに挨拶すると、いつもの明るい笑顔がないらしい・・・。
一方、フラアの交友関係ではどうであろうか?
友人たちとは相変わらず遊んでいる。
敵対心剥き出しだという、コーデリアは余所余所しいままだが、
他の子たちはいつもどおりだそうだ。
いや、・・・正確にはそうではない。
父母を心配させたくなくて、「いつもどおりだよ」と言ってるだけなのだが、
彼女の交友関係でもわずかながらに変化が生じていた。

最大の変化はコーデリアが自分に絡まなくなったことだ。
勿論、仲良しになったわけでも仲直りしたわけではない。
「何か遠慮している」・・・そういう表現が最も適切だ。
他の友人たちとは変わらず遊んでいるが、
待ち合わせの場所とか、帰り際とか改まる状況になると、
女の子たちの表情にぎこちなさが見えるのだ。
 「何かあったの?」
とフラアが聞いても明確な答えは返ってこない。

そんな毎日を繰り返しているうちに、
相変わらず売上が戻らないネフティス家も、
家計のやりくりが難しくなる状況へと変わっていった・・・。