Lady Merry の日記

Yahooブログから引っ越してきました。

飲み屋の友人たち

 
さて、客の来ない店先にいても仕方なしいし、
そんな状況で修業を続けても気が滅入るだけだ。
兄のピエリは週末、久しぶりにゼペットさんの飲み屋へと出かけてみた。
ひょっとしたら知らず知らずのうちに、陰気な顔つきになっていたかもしれない。
友人と騒げば、また元の調子を取り戻せるかもしれないし・・・。
大体、この時間なら知り合いの一人や二人は・・・、

 あー、いたいた!
 優顔のデボアにケィデンスもいやがる!
二人は前回と同じく・・・まぁお祭りのときほど混んではいないが、
指定席でもあるかのように、カウンターの隅っこに静かに飲み始めていた。
 「もう、飲んでるのか、おまえらぁ!
 ゼペットさん、ビールお願い!」
ピエリは景気よく声をかけて二人の傍に近寄るが、
ここでもピエリは予想外の反応で迎えられた。
二人とも・・・いや、マスターも含めて、まるで幽霊でも見たかのような表情を見せたのだ。
当然、ピエリも硬い表情に戻し、
しばらく口を閉じて、デボアの隣に腰を落ち着けた。
 どうなってやがるんだ・・・!?

いつも陽気な筈のゼペットさんは、岩のように硬い表情のまま、グラスをピエリに用意する・・・。
 「ありがと、ゼペットさん・・・。」
やむなくピエリは大きくグビグビ飲んで、デボアの背中を叩いてみた。
 「おい! 何を辛気臭く飲んでんだよ、おめーら元気ねーな、
 何かあったのか!?」
デボアはあからさまに迷惑そうな顔をしてピエリに向きなおるが、
説明は何もない。
一つ向こうのケィデンスが、何かを言いたげにピエリの顔を窺っている・・・。
 「ケィデンスまでどうした!?」
 「あ、あ・・・ピエリ、なんでも・・・」
なんて歯切れの悪い奴らだ。
こりゃ、無理やり飲ましてでも白状させるか・・・