Lady Merry の日記

Yahooブログから引っ越してきました。

妹の為に・・・

 
 「ああん? だからよぉ、
 夜な夜な魔術かなんかで、オレ等の心を惑わしてんじゃねーのかぁ?
 とんでもねぇ女だぜ!
 それに元々お前ら一家は余所者だ、
 どこからやって来たかもわからない。
 そんな・・・」

言い終わる前に、ピエリの右拳は勝手にデボアの顔面を捉えていた・・・!
 ドンガラガッシャーンッ!
酒場の樽が崩れ落ちる。
可愛い妹をこれ以上、侮辱されてなんか堪るものかっ!!
ピエリはそのまま、横たわるデボアを引き摺り起こす。
 「てめぇ! デボア!!
 お前ってヤツはそんな目でオレらやフラアを見てたのかよっ!!
 許さねぇっ!! てめぇがそんな男だったなんて・・・!」
だが、デボアもやられっ放しの訳がない。
第一、自分こそが正義と思っているのだ。
 「放せよ、ピエリ・・・!」
今度はデボアの鉄拳だ!
金物屋の息子のデボアは、見かけより遥かに筋肉質だ。
あっという間にピエリはぶっ飛ばされる。
 「ち、畜生、デボア、てめぇ・・・!」
無様に寝ころぶピエリを見下しながら、
デボアは周りを見渡した。
 「よーく周り、見ろよ、ピエリ・・・。」
既に彼らを、十数人ぐらいの男たちが静かに見つめていた。
ピエリがそれに気づくと、彼らの視線は全て自分に集まっている。
中にはデボア同様、仲の良かった筈の友人もいる。
・・・まさか、こいつらも!?
 「お、おい! サモア! マルガリー!!
 お前らもフラアのこと気に入ってたよな・・・!
 お前たちまでいい加減な噂、信じているなんて・・・!?」
だが、その友人も、当初のデボア同様、
まるで汚いモノでも見るかのような目つきで、ピエリを見下している。