Lady Merry の日記

Yahooブログから引っ越してきました。

集団私刑

  
 本当にオレは、子供の頃からこいつらと同じ時間を過ごしていたのか・・・!?
 こいつらはオレの知ってるデボアと同じ人間なのか!?
 まるで、全くの別人に取って変わったみたいに・・・。

いや、もうそんな錯覚は個人レベルでは済まなかった・・・。
町の人々も、
家の近所も・・・、
馴染みの店や、いつも気ままに過ごしていた居場所さえ・・・、
もうピエリの知っているそれでなくなっていたのだ・・・。

 オレは・・・オレ達は・・・この街の人間じゃ・・・
 もう・・・この街で暮らしていくことはできねぇのか・・・!?

デボアやコーデリアが言うように、
ネフティス家がこの街の出自でない事は、比較的多くの人間に知られていることである。
勿論、王都に田舎から人口が流入してくることは珍しいことではないが、
逆に、ここまでこの街にネフティス家が馴染んでいることが稀なケースと言えよう。
それはひとえに父親の誠実な仕事ぶり、
明るい母親、そして可愛い子供たち・・・。
それらが町の人々に受け入れられた結果である。
ピエリも、越してきたのは本当に幼少のころ・・・。
以前、どこに住んでたかなんて、ほとんど覚えちゃいない・・・。
それほど、この街に染まっていたのに・・・、
何でこんな事に・・・。
 
 うわあああああああっ!!

全てに裏切られ、パニックになったピエリはデボアに突進した。
だが、ここまで周りに囲まれたら、一対一のケンカになる事も成立しやしない。
すぐに集団に取り囲まれ、
ピエリは寄ってたかって顔面やカラダをぶん殴られる。
一発ごとに、自分の人格や家族の尊厳、これまで生きてきた人生を粉々にされてる気分だ。

反撃することもできず・・・手足も封じられて、
何も考えられなくなるまで、ピエリはただただ一方的に殴られ蹴られ続けて・・・。

そして・・・冷たい地面に彼は、数時間立ち上がる事すらできず、転がされていたのだ・・・。