Lady Merry の日記

Yahooブログから引っ越してきました。

城壁を越える

 
王都ラシは城塞都市であり、
街の中をいくつかの堀で仕切られている。
実際、これまで他国から王都を攻められるケースなど皆無なので、
その機能は敵国からの防衛よりも、
治水や生活排水に重きを置いた堀である。
すぐに二人は目的の場所にたどり着き、
しばらく排水門の造りを確認してから行動に移る。
背が高くて届かない場所への移動は、何とか肩車で登ることができる、
先に上った者が下の物を引っ張り上げる。
非力な女性の体でこれをやるには一苦労だ。
互いの「グチ」や相手への絶え間ない「罵詈雑言」は予想できるだろう。
2人の関係は以前とまったく変わらないようだ。

なんとか・・・フラアは排水門の天辺から外へと降りれる位置まで辿り着くことができた。
ここから下は城壁の外だ・・・。
舗装されてない道が増え、民家すらまばらになっていく。
勿論、コーデリアとはここでお別れだ・・・。

 「フラア・・・あんた家族は・・・・?」
 「・・・お兄ちゃんがお父さんお母さんを助けるって・・・」
口に出した瞬間、それがどんなに困難なことか、改めてフラアは思い知る。
でも今さら、後戻りできる筈もない。
コーデリアもそれ以上、突っ込む気になれなかった・・・。
 「アンタ、ここから先は真っ暗だからね・・・、
 このランプ持ってきな・・・。
 靴もあたしの履いてるヤツの方がマシだろう、
 ホラ、上着もやる・・・餞別代わりだ・・・。」
なんで・・・どうしていきなり・・・?
ついにフラアの目が潤む・・・。
 「コーデリア・・・どうして? あなた、私の事・・・?」
 「やめろよ! そんな上ずった声だすの!
 嫌いに決まってるだろ! だけど・・・拷問されたり酷い目に遭う必要はないじゃないか!?
 そうだろ・・・?」
コーデリア・・・