Lady Merry の日記

Yahooブログから引っ越してきました。

怪奇伝説

 
ラシが都として栄え始めたろ、
既にその丘には、誰も立ち入ることができなかった。
旧ウィグル王国時代の建物らしきことは、すぐに判断することができたのだが、
人が居住していた痕跡もないし、町としての機能もなさそうであった。
単純に「何らかの広く大きな施設」がそこにあったようなのである。
その遺跡の内部への入口はいくつか見受けられるが、
大量の土砂が侵食していたり、
入口が崩れる心配があったり、
大勢が入れるようなスペースもなかったりと、
調査の手が入ることはこれまでない。
若者たちが冒険心で中に入ることはできても、精々入り口付近まで・・・。
その奥へと足を踏み入れることはできなかった。

それは建物の安全性の話だけではない。
・・・奇妙な音・・・、
施設の中から聞こえる山鳴りの様な音・・・、
そして時として、内部に足を踏み入れた者から、
大量の人影を見たとの報告が為されたからだ。
もしかして聞こえてくる音は山鳴りではなく、
幽霊たちの恨みの声!?

この施設を探検してくると言って、
帰ってこれなかった人間もいたと言う。
そういった事実が膨らんで、
この施設は完全に近場の怪奇スポットとなった。
尾ひれがつくと、かつてこの建物の中に閉じ込められ生き埋めにされたとか、
さもなくば、天変地異を鎮めるための人身御供では? とか、もう・・・いろいろ。

フラアにしても、そういった噂は何度も聞いている。
当然、いつもなら恐ろしくてそんな場所には近寄りたくもないが、
今は、自分の身の寄せる場所はそこしかないという気もする。
拷問や死刑の心配に比べれば幽霊なんて・・・!

 やっぱり怖い・・・。