Lady Merry の日記

Yahooブログから引っ越してきました。

異質なる空間

 
追手の一人がようやくこの部屋に降り立った時、
そこには生きている人間は誰もいなかった・・・。
 「おーい、中はどーなってるー!?」
上から仲間が声をかける。
部屋に降りた男は、フラアが驚いた時と同様、部屋を見回してしばらく声が出ない・・・。

違う事と言えば、薄く光を放つ巨大な物体が、部屋全体をわずかに照らしている事・・・。
そこにある無数の彫像を浮かび上がらせて・・・。
 「どーしたー!?」
 「い、いや、すまない! それより・・・中は凄いぞ!!
 不思議な・・・巨大な照明がついてて・・・何十体もの銅像を照らしてる・・・。
 松明は必要ない・・・
 これは・・・旧ウィグル王国の遺跡だっ!
 過去の偉人達の銅像が祀られているぞ!?」
 「・・・そんなことより逃亡者はいないのかー!?」
直接、この光景を目にしなければ感動は薄いだろう。
勿論、中に降りた男も任務を思い出さずにはいられない。
 「いや、落ちた形跡はある! 足跡も残ってるようだ・・・、
 だがこの辺にはいない・・・、もしかしたらもっと奥に隠れているのかも・・・!」

追手はしばらく、どよどよと混乱を見せたようだが、
しばらくすると何人か増やしてここに降りるようだ。
一人、また一人とロープをつたって降りてくる。

さて・・・肝心の主人公フラアはどうなったであろうか?
突然カラダの自由を奪われ、それでも滅茶苦茶暴れはじめるが、
引き摺り込まれた物体の中は、ほとんど動けるスペースがなく、
すぐに手足を壁や天井にぶつけてしまう。
態勢を変えることもままならず、
パニックになりかけて、何とか自分を引き摺りこんだ何かの正体を掴もうと首を振るが・・・。
そこでフラアは全く予想外の声を耳にした。