Lady Merry の日記

Yahooブログから引っ越してきました。

悪夢の終焉 5

 
アイザスが明かすのは、今日の会議の結果である。
 「む、ゴホン、・・・それで、今日の会議の大まかな内容だが・・・、
 法王は退位することになると思う。
 マグナルナ派の人事については、我ら王族と言えども関与することはできないが、
 順当に行けば、現在大司教の地位にいるケルンが代わりに就くだろう。」
横からディジタリアスが合の手を入れる。
 「・・・確かケルン殿はマグナルナ派の中でも穏健派でしたな・・・?」
 「うむ、・・・これからはあまり魔女裁判なる慣習は減るとは思う・・・。」
しばらくフラアは黙って聞いていたが、
このやりとりの中で、どうしても言わずにはいられない衝動が自分の中にある事を発見する。
そして、彼女はその衝動に身を任せた・・・。
 「『減る』? 
 減るって・・・あんな迷信に何の意味があるのですか!?
 王様や、ディジタリアス様は、どうしてあのような非道な集団をあのままにしておくのです・・・!
 私の・・・」

一度フラアは言い淀んだ・・・。
自らのカラダに受けた侮辱的な凌辱行為を思い出したのだ・・・。
だが、そんなことは話すことではない。
言わねばならぬのは、家族達が受けた痛みや苦しみ・・・あの残虐な拷問の数々・・・!
 「私の! 私の家族がどんな辛い目にあったのか、
 王様たちはご存知なのですか!?
 あんなものは取り調べじゃありませんっ!!
 ただの・・・いえ、あいつらこそ本物の悪魔じゃないですかっ!
 なぜ・・・王様は・・・天使シリスの作ったこの国に、
 あんな奴らをのさばらせておくのです・・・!?」
思わぬフラアの糾弾に、
完全にアイザス王は呑まれていた・・・。
勿論、王族として生まれてから、今に至るまで何の挫折も疑問もわかずに育ってきた彼に、
フラアの問いに答えるすべなどない・・・。
ただただ、オロオロうろたえるアイザスに、
思慮深いディジタリアスが代わりにフラアに答えを返した・・・。