Lady Merry の日記

Yahooブログから引っ越してきました。

地底へ 9

 
口は悪いが、頬を赤らめて素直に礼を言うミィナの顔はなかなか見ごたえがある。
そのまま、ぼーっと彼女の顔に見とれていたタケルは、
ついに彼女の反撃を食らう。
  バキッ 「ンぎあっ!?」
 「ガン見してんじゃねーよっ!」
太ももに思いっきり前蹴りを食らったのだ。
 「くくく ・・・・てっ、てっめっぇぇぇぇ~!!」
うずくまるタケル・・・。
どうしていつもこんな目に・・・。

視てるだけで飽きの来ない光景だが、
その為に彼ら一同、誰もが油断しきっていた・・・。
まだ、
巨大トカゲは絶命していなかったのだ・・・!
 キィィィィッ!!
再び高音域での鳴き声が辺りに響く!
既にタケルは剣を納めていた。
この距離ではトカゲの強烈な一撃をまともに・・・!

 「うおおおぉぉぉっ!?」
強烈なトカゲの張り手がタケルを吹っ飛ばす!
彼の頑丈なボディは、少々の攻撃ではダメージを負わす事も出来ないが、
数秒、身動きできない程の衝撃が彼のカラダを支配する。
・・・その間に他の仲間が犠牲を・・・!?
最悪だ・・・こんなところで・・・まだ敵も遭遇していないのに・・・!

しかし・・・この時、
数百メートル離れた小高い丘から、
この光景を見つめる一つの視線があった・・・。
その人物は冷静に状況を把握すると、
手にした弓に、背中の筒から矢を構え、
狙いも定めずに無造作な動作で弦を引き絞ったのである!