狩猟の女神アルテミス 1
「今のは!?」
「まさか、あの小高い丘から放ったってんじゃ・・・!?」
スサの誰もが、理解できない事態にうろたえていた。
サルペドン一人、静かに小高い丘を見つめている。
そして、
丘の向こうに動きがないのを確かめると、
スサの一団に振り返り、
自らの分析を口述する。
「どうやら、この先にあるのは、狩猟の女神アルテミスの村のようだ、
今の手際を見る限り、理解できるだろうが、
恐るべき弓の使い手と言うわけだな。」
タケルをはじめ、誰もが納得できない。
「弓の使い手って・・・何百メートルあるんだよ、あそこから!?
それこそゴルゴ並のスナイパーじゃねーとムリだろっ!?」
「・・・だからこそ、オリオン神群なのだ。
せめてレーザー兵器でも持ってきてたらいい勝負に・・・。
いや、無理だな、
照準を合わすタイムラグはどうしようもない。」
「・・・?」
サルペドンの最後の言葉の意味はよく分からないが、
実際のところ、かなりの重量になるレーザー兵器など、徒歩で担いで持ってこれる訳もない。
第一、充電装置もない。
せめてライフル並の小型化・軽量化が出来ればまた話は違うが、
スサの技術力をもってしても、それは未だ不可能だ。
「それより・・・何ゆえ、そのアルテミスとやらは我らを助けに?
もしかしてその人物は、我らに友好的なのでは・・・?」
落ち着いたクリシュナの問いは、スサの一団に希望を持たせる。
それはそうだ、誰だって戦いたくはない。
さすがにサルペドンもそれは判断できるものでもないが・・・。
その時、グログロンガがかすむ景色の中から、誰かがこっちにやってくる事に気がついた。
「誰か来る! ・・・一人のようだ!」