Lady Merry の日記

Yahooブログから引っ越してきました。

狩猟の女神アルテミス 2

 
スサの一同は緊張し・・・そして静かにその人物の到着を待った。
本当に一人だ。
だが、アルテミスは、その伝説通りなのなら女性である筈だが、
やってくるのは普通の男のようだ、
特に兵士のような恰好ですらなく、
普段着に装身具を垂らしただけの、小奇麗な男だ。
その人物は緩やかに笑みを浮かべている、
・・・戦意は全くないのだろうか?
 「止まれ・・・何者だ?」
会話ができるサルペドンが、男の接近を見計らって落ち着いた声をかける。
すると男は、丁寧にお辞儀をしてからサルペドンに向かって、
ゆっくりと口を開いたのである。
 「ようこそ、皆様、
 私は伝令・・・我らが麗しき女神アルテミス様の下僕、アイキワロと申します。」
 「伝令・・・神の奴隷(te-o-jo do-e-ro)か、
 要件を聞こう。」
 「はい、まず、そこに横たわるオオトカゲに怪我をされた方はいらっしゃいますかな?」
振り返るサルペドン、
酒田もミィナも大事はなさそうだ。
 「心配していただけるのならありがたいが、おかげでどうやら全員無事のようだ。」
 「それは何より、
 ではアルテミス様の伝言を伝えます、
 そのオオトカゲはしとめる事が出来れば、この国では御馳走の一つです、
 せっかくこの地に来たのであれば、
 記念に賞味していくがよいと。
 調理法に自信がなければ、アルテミス神殿から料理人を遣わしても構わないとの仰せです。」
タケル一同、その友好的なスピーチに顔がほころぶ。
大体、女性と戦うことなんかできるか!
彼だけにとどまらず、その場の全員の緊張が解けるのを他所に、
伝令役のアイキワロは、更に言葉を続ける。