Lady Merry の日記

Yahooブログから引っ越してきました。

狩猟の女神 アルテミス3

 
 「そしてその後のお言葉です。
 ゆっくり休んで、満足するまで食事を愉しんだなら、
 早々、地上に帰るがよいと・・・、以上になります。
 お分かりいただけましたかな?」

・・・やはりそんなうまい話はないか・・・。
サルペドンは最初からこの言葉を想定していたのか、あまり表情に変化を見せないまま・・・。
 「できれば我々も、血なまぐさい争いは避けたい・・・。
 だが、オリオン神群の頭たるゼウスが地上侵攻を企むのなら、
 我々はそれを食い止めるために戦わざるを得ない。
 もし、君の主たるアルテミスが我らの思いと同様に、争いを望まないのであれば、
 黙って我らが通り過ぎるのを許可していただけないだろうか?
 勿論、住人に危害を加えないことは約束する。」
しかし、伝令は微笑を浮かべたまま首を振るだけだ。
 「残念ですが、あなたがたがアルテミス様のテメノスに足を踏み入れる事など、
 一切、許される事ではありません・・・。
 この先、・・・あの丘の麓からがアルテミス様のテメノスです。
 このまま、あなた方がその境界に近づこうとしたら、
 後ろで倒れているトカゲのように、
 アルテミス様の神の矢があなた方の命を貫くでしょう・・・。
 さて・・・確かに伝えましたよ?
 それでは私はこれで・・・、失礼いたします。」
所詮、伝令は伝令、・・・交渉する余地もないということか。
アイキワロは最後まで礼儀正しく一礼すると、振り返りもせずに元来た方へ帰って行ってしまった。

さて、残されたスサの面々・・・。
サルペドンは振り返ってタケルに決断を迫る。
 「さ、一応、聞こうか、どうする?」
タケルは真剣な面持ちでサルペドンに答えた。
 「どうするったってなぁ、さっき食事は済ましたし、あと小一時間は腹具合も・・・。」
サルペドンは思わず、そこら辺の土を蹴りあげた!
 「バカかぁぁぁ!! 誰がトカゲを食うかどうか聞いたぁ!?
 この先、進軍するかどうかを聞いたんだ!!」