Lady Merry の日記

Yahooブログから引っ越してきました。

シルヴァヌスの森 37

 
・・・戦いが終わった・・・。
見ればタケルのカラダはボロボロだ・・・。
小動物や鳥たちに、衣服や皮膚をあちこちついばまれている。
大きなダメージは全くないのだが、
本人にしてみれば、カラダ全体を襲う疲労感の方がつらいところであろう。
もっとも・・・今、タケルの内心は荒みきっている・・・。
結局、話し合いや和平など無理なことだった・・・。
怒りに任せ、全てを暴力で片づけた・・・。
きっと、誰も自分を責める者などいないだろうが、
果たして本当にこれで良かったのか?
デンを死なせない道はあったのではないだろうか?

 「タ・・・タケル様! さすがですな! た・・・たった一撃でオリオン神群を!!」
部下に声をかけられて、ようやく我に返る。
サルペドンに無線を飛ばして、今後の対応策を練ってもらった。
実際、戦いが終わると、それまでの迷宮のような森の様子が、嘘のように一変した。
クリシュナ部隊が、この村の住人達の集会場所を発見し、
無線越しにサルペドンがシルヴァヌスの死を伝えると、
あっという間に村人たちは大人しくなり、一切の抵抗を止めてしまう。
しかも、もう道に迷うことは殆どなくなった。
サルペドン達とタケル、グログロンガはすぐに合流し、
怪我を負った隊員達の治療も始める。
しばらくは安静にしている必要のある者もいるようだ。

途中、デンとその隊員らしき遺体も発見した。
・・・酷い。
見るに堪えない有り様だ・・・。
一つの死体は、見慣れぬ服を纏ったもう一つのカラダを、抱きかかえるように手を伸ばしている。
こっちが村の少女だろう・・・。
最後の最後まで、この娘を救おうとしていたのか・・・。