Lady Merry の日記

Yahooブログから引っ越してきました。

シルヴァヌスの森 38

 
デン達の死体の運搬、簡素な葬儀・・・、
そして哀れなアイドメネアの事は、サルペドンが村の長老らしき人物に説明していた。
タケルも何かすべきと考えていたのだが、
他の隊員達が、疲弊したタケルのカラダに気を使ってくれたので、
必要そうな仕事は全部、彼らが片付けてしまっていた。
・・・多少、カラダを動かしていた方が余計な事を考えなくて済むのだが・・・。

テントで負傷した他の隊員達と休んでいると、
サルペドンが現れる。
 「・・・よぉ、サルペドン、オレは何かしなくていいか?」
 「タケル、・・・自分では気づかないかもしれんが、
 顔がやつれているぞ? 何発天叢雲剣を撃った?
 この地で精神力が増大しているとはいえ、それに任せて全力で撃っていたら、
 いくら何でも、想像以上の負担がかかる。」
 「ああ、・・・そうか、でも・・・ま、勝ったよ。」
サルペドンはしばらく無言でタケルを見つめていたが、
やがて帰り際にもう一つ、言葉を残した・・・。
 「・・・さっき、村人に確認したが、
 この村のシルヴァヌス・・・やはり、ウィグルに攻撃をかけた一人だったよ。
 お前は村人たちの仇も討ったんだ・・・。」
 「へぇ、そうか、・・・なら・・・ミィナに伝えてやるか。」

彼女は他の隊員達と夕飯の支度をしていた。
見るからにくたびれているタケルを見つけると、
彼女なりにタケルをねぎらってやるかと思ったようだ。
 「よぉ! 活躍したってな、ごっくろーさん!」
多少なりとも女性の明るい顔を見ると、タケルの顔も少しはほころんだ。
 「ああ、いや、・・・まぁな、
 それより・・・、オレが倒したこの村の男・・・、ミィナの家族や村人の仇だったよ・・・。」
すると、あっという間に、ミィナの顔が固まって行く。
彼女も無理をしていたのだ・・・。
当たり前だ・・・こんな滅茶苦茶な状況で・・・平常心を保っていること自体が異常なのだ。
それでも・・・ミィナは力なく、右ストレートをタケルの腹にゆっくりと当て、
ただ一言、「ありがと・・・。」
とだけ、つぶやいたのだ・・・。