Lady Merry の日記

Yahooブログから引っ越してきました。

バッカスの酒宴 1

 
悪夢のような、シルヴァヌスの森を撃破して、
今や、スサの一団は次の目的地へと旅を続けている。

あの後、負傷した隊員達の手当てをするべく、
その日一日シルヴァヌスの村に逗留し、
ゆっくり休んでから出発することになった。
・・・もっとも何人かの負傷は激しく、
出来得ることなら、この場に留まらせてあげたいところなのだが、
基本的にここは敵地であり、サルペドンとマリア以外は言葉も通じない。
何とか頑張ってもらううしかないのだろう・・・。

ただ、好材料がないわけではない。
サルペドンがある情報を仕入れてきたのだ。
 「・・・この先の進み方だが、東へ向かえば、一大穀倉地帯があるらしい。
 別に敵の食料を抑えるとか、我らが補給のためとか、
 そんな目的ではないのだが、
 そちらには『比較的』温和な神がいる。
 余計な戦闘を避ける事が出来るかもしれない。」

そんな事を言われれば、東へ向かうに何の躊躇いもない。
タケルは二つ返事でそっちへ向かうことを了承した。
 「それで、その先にはどんな神がいるんだ?」
タケルでなくとも、その場の全員が興味ある話である。
サルペドンも別に勿体ぶるつもりもない。
 「ああ、
 そうだな、まず、一番先に辿り着くのはディオニュソス・・・、
 樹木や果実・・・酒の神と言えば分り易いか?
 それとその先には、このピュロス王国の人口、全てを賄えるほどの収穫量を誇る穀物の女神、
 黒衣のデメテルが支配する村だそうだ。」
なるほど・・・、
それは確かに戦闘になりそうな気配はない・・・。
 「・・・じゃあ、うまくいけば・・・。」
 「ああ、怪我をした者たちを休ませる事が出来るかもしれないな。」