バッカスの酒宴 8
「・・・何があった?
正直に言え、別に飲酒そのものでお前たちをとやかく言うつもりはない。」
勿論、斥候の任務に酒を携行することなどあり得ない。
どこか現地で調達したはずだ。
となると、この先にあるデュオニュソスの村・・・。
「は、はい、あ、あの、すいません、
途中で、この先の村の人間達と遭遇しまして・・・。」
実際、彼らが飲酒してからはかなりの時間が経っている。
顔からはその赤みが消えたとしても、匂いまではそう簡単に消えてくれない。
「ふむ、それで? 言葉は通じない筈だな?」
「あ、は、はい、その通りなのですが、
既に我らと出会う前に、その数人の農夫たちは彼ら自身の酒で酔っ払っておりまして、
私たちと出くわすと、笑顔で自分達の酒を勧めてくるもので・・・、
ほんの少し・・・。」
別にスサは軍隊ではないし、
厳しい規律があるわけでもない。
彼らの常識感覚が、うしろめたい思いを作っているだけである。
話を黙って聞いていたタケルの感想は、
「この先の奴らって、かなり楽観的なのか?」と、こうである。
他のメンツも大同小異だ。
右頬を腫らした酒田さんも、真面目な顔して聞いてみる。
「・・・こんなとこじゃ他所もん自体、珍しいだろう?
それでも、酒なんか勧めてみるって、・・・かなり呑気な村人だな?」
「は、はい。サルペドン様の仰ったように、争い事を好みそうな者には見えませんでした。
むしろもっと飲め、と引き留めるのを、固辞して戻って参ったのでございます。」
この結果、
スサの幹部たちは、協議して、もう少し進んでから、
使者を送ってみる事にした。
村人たちの態度と、その村の主デュオニュソスの対応が一致するという保証はどこにもないが、
一番物知りそうなサルペドンまでもが警戒していない。
というわけで、スサ本隊が村の入り口付近まで辿り着くと、
何とか会話ができるマリアを使者として、デュオニュソスの元へ送ることと相成った。
スサの幹部たちは、協議して、もう少し進んでから、
使者を送ってみる事にした。
村人たちの態度と、その村の主デュオニュソスの対応が一致するという保証はどこにもないが、
一番物知りそうなサルペドンまでもが警戒していない。
というわけで、スサ本隊が村の入り口付近まで辿り着くと、
何とか会話ができるマリアを使者として、デュオニュソスの元へ送ることと相成った。