Lady Merry の日記

Yahooブログから引っ越してきました。

バッカスの酒宴 10

 
疲れ切った戦士たちの間にどよめきが起こる。
タケルも本心から安心するが、一応、組織のトップとして心配すべきところは警戒しないと・・・。
 「良かった! でもマリアさん、サルペドン、
 これが罠である可能性は?」
静かにサルペドンは頷いた・・・。
 「そうだな、いいぞタケル、その可能性に気づいたか。
 ただ、恐らくこの村の様子から、争いに慣れてないのは確実と思っていいと思う。
 疑うとしたら、飲食物に毒や眠り薬を入れられることか、
 ここに他の神々が隠れ潜んでいる、という可能性だけでよいだろうな。
 ただ、後者は考えにくい。
 どっちにしても、まずはデュオニュソスに会ってみよう。
 ・・・それでマリアは何飲んだんだ?
 味はどうだった?」
顔を赤らめながら・・・お酒のせいか恥ずかしいのか、
これは、タケルも初めて見るマリアさんの表情だ。
 「あ、は、はい、シェリー酒のようなものを・・・少し・・・。
 地上ではお目にかかれない極上のものでしたわ・・・。」
酒田さんの目が輝き始めた。
良く見るとクリシュナのおっさんも興奮しているような・・・。
勿論、彼らはそんな軟弱な飲み物以外を期待しているのだろう。
果たして、この村で如何なるアルコールが彼らを待っているのだろうか?

急な来訪者が現れた事は、
村中に伝わったらしく、
タケル達が村の入り口をくぐろうとする頃には、
大勢の老若男女が彼らの周りを取り囲み始めていた。
とびっきりの笑顔を浮かべる者、
歓声を上げる者、
多少怯えて、人々の隙間からこちらを覗く者、
反応は様々だが、概して良好な態度で迎えられている事に疑う余地はないようだ。
こっちもミィナと酒田さんが両手をあげて歓待に応えている。
ミィナ、お前、投げキッスしてどういうつもりだよ・・・。