Lady Merry の日記

Yahooブログから引っ越してきました。

バッカスの酒宴 11

 
村の中はレンガでできた大きな建物がいっぱいある。
建物の前にはいくつもの樽が並べられているが・・・、
もう、ここまで来たら、それらがほとんど酒蔵か、それに関係ある建物である事は容易に判断できる。
村の中央には広場があり、そのど真ん中には、
周りより低い・・・、
それでいてかなりの円周を持つテント・・・ゲルと言った方がいいか?・・・が存在した。
村の案内役とマリアが先導するということは、
そこがこの村の主、デュオニュソスの棲家ということか。
暗がりで完全には見えないが、
その大きなゲルの前に何人かが固まっている。
一人は座っているようで、
その前に二人の人間が構えている。
もしや・・・あれが・・・。

タケル達が数メートル前に近づくと、
並んで立っていた二人の男が恭しく頭を下げた。
衣裳からして神官のようなものか?
では後ろに座っているのが・・・。
サルペドンがお返しに頭を下げてから近づくと、
座っていた男はおもむろに立ち上がる。
大きい・・・。
勿論タケルほどでないが、180真ん中のサルペドンと並んでも遜色がない。
薄い衣に包まれた浅黒い肌・・・、
分厚い胸板・・・年の頃は中年当たりだろうが、
上唇にウェーブされた髭を蓄え、頭髪も短めだが、
欧米人によく見る巻き毛タイプ・・・。
そして・・・勿論、既にアルコールが入っているのか、
ニコニコしながらその男はスサのメンバーを受け入れた。
・・・いや、ここで衝撃的な言葉が・・・。
 「はぁろぅ~、はうどぅゆーどぅ~
 ご機嫌いかがかなぁ、地上のみなさぁん♪
 私がこのテメノスの主、デュオニュソスでーす!」

その男の口から流れ出たのは、紛れもなく英語であった。