Lady Merry の日記

Yahooブログから引っ越してきました。

地母神デメテル 23

 
 サルペドンは話を続ける。
 「いや、一地方レベルでは、確かに婚姻関係があったとするらしい言い伝えもあるのだが、
 メインの物語からは一切、その様子が窺えない。」
当然タケルは次の質問をする。
 「じゃあ、二人の関係は?」
 「・・・あまり、健全な仲とは言えないな・・・。
 ポセイドンが一方的にデメテルを犯している・・・。」
はぁ!?
隣でデメテルが大笑いをしている。
 「ほーっほっほっほ、案ずるでない、タケルよ、
 大昔の話であるし、物語の中の話でもある。
 ・・・恐らく、神話の中にある種のメッセージが込められておるのじゃろうが、
 その二人が元々配偶者同士であった事に疑いはない。
 まぁ、ついでなのでこの話を披露しようかの?
 
 遥かな古代、神話のデメテルには一人の娘がおった。
 その娘の名はペルセフォネともコレーとも言う。
 ある時、野原で遊んでいたその娘を冥界のハデスが目をつける・・・。
 冥府の王ハデスは大地を割り、その娘を地の底にかどわかしてしまったのじゃ。
 最愛の娘を失ったデメテルはあらゆる場所を捜索するが、娘の姿はどこにもない。
 ・・・そして放浪に疲れたデメテルを、
 今度はポセイドンが襲うのじゃ・・・。
 デメテルは黒馬に変身して逃れようとするが、ポセイドンもまた馬に変身して、彼女を貫く・・・。
 
 結果・・・いや、どれが本当の原因かは知らぬが、
 デメテルの怒りと嘆きで、地上からは一切の作物が消えた・・・。
 天空は暗黒で覆われ、地上には呪いと荒廃で埋め尽くさる・・・。
 この世の終末にも似た惨状が世界を覆いつくした・・・。」

その時、デメテルはタケルの視線が泳いでいる事に気づいた・・・。
 「タケル?」
タケルに何か異変が起きたというわけではないが・・・、
彼は何かに気づこうとしている・・・。
 「・・・どこかで・・・聞いたような・・・。同じ話を知っている?
 いや・・・確か・・・昔・・・実家で父親から・・・。」

どうやらサルペドンもタケルの記憶に心当たりがあるようだ。
 「そうだ、タケル、思い出すがいい・・・、
 日本神話のスサノヲ伝説とよく似た話だろう・・・。」